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店を出ると、夜の空気は少し冷たかった。
〇〇が、私の手を握った。
「……寒くない?」
「ちょっと」
「……じゃあ、こっち」
そう言って、私を自分の方へ引き寄せた。
肩が触れる。
手がつながっている。
それだけで、胸がいっぱいだった。
駅へ向かう道を、二人でゆっくり歩いた。
帰りたくなかった。
でも、帰りたくないと言っても、もう大丈夫だと思えた。
だって、また会えるから。
明日も。
明後日も。
これから先も。
「……ねえ」
私が呼ぶと、〇〇がこちらを向いた。
「ん?」
「……今日、会えてよかった」
〇〇は、少しだけ笑った。
「……俺も」
「……ほんとに?」
「ほんと」
「……じゃあ、明日も一緒にいようね」
「……うん」
「明後日も?」
「……うん」
「その次の日も?」
〇〇は、笑いながら私の手を握り直した。
「……ずっと一緒にいるよ」
その言葉を聞いて、私はようやく安心して笑うことができた。
〇〇は、つないだ手を少しだけ強く握った。
そして、私の方へ顔を寄せて、そっとキスをした。
短いキスだった。
でも、今までのどのキスとも違った。
もう、いつ終わるか分からない関係の中で、必死に幸せを探さなくていい。
明日になったら、また会いたいと言える。
寂しいときは、寂しいと言える。
好きだと、何度でも伝えられる。
私たちは、まだ何もかもを取り戻したわけじゃない。
傷ついたことも、失った時間も、なかったことにはできない。
それでも。
これから先の時間は、二人で作っていける。
そう思えた。

