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しばらくして、私はふと思い出したように言った。
「……ねえ」
「ん?」
「結婚したらさ、毎日ぎゅーしてね」
〇〇が吹き出した。
「……そこ?」
「大事でしょ」
「……まあ、大事か」
「あと、疲れてる日は何も言わずに抱きしめて」
〇〇は、笑いながら私の頭を撫でた。
「……ほんと、しょうがないな」
「ふふ」
「……でも、そういう毎日がいいな」
その言葉に、私は顔を上げた。
〇〇は、私を見て笑っていた。
「特別なことがなくてもさ。二人でご飯食べて、くだらない話して、疲れたら一緒に寝て」
「……うん」
「何でもない毎日を、お前と過ごしたい」
私は、もう一度〇〇に抱きついた。
欲しかったのは、そういう未来だった。
大きな夢があるわけじゃない。
何かすごいことをしてほしいわけでもない。
ただ、朝起きたら隣にいて。
帰ってきたら、おかえりって言えて。
嬉しいことがあったら一緒に喜んで、つらいことがあったら一緒に悩んで。
そんな毎日を、〇〇と過ごしたかった。
今まで、そんな未来を想像することさえ怖かった。
私たちの関係には、いつか終わりが来ると思っていたから。
でも、今は違う。
〇〇も、同じ未来を見てくれている。
それが、何よりも嬉しかった。

