〇〇が、少しだけ体を離して私を見た。
「……ただ、勢いで約束して終わりにはしたくない」
私は、黙って彼を見つめた。
「ちゃんとお前の親にも挨拶したいし、これからどう暮らすかも、一緒に考えたい。仕事のことも、お金のことも、現実的に決めなきゃいけないことはあると思う」
彼は、私の手を握り直した。
「でも、結婚するつもりで、お前と向き合いたい」
胸がいっぱいになった。
今まで、私は彼の隣にいることを望みながら、その未来を想像することすら怖かった。
いつか、もっと彼に似合う人が現れるかもしれない。
私では足りないと思われるかもしれない。
そんな不安ばかりだった。
でも、今の〇〇は、私を未来の話の中に入れてくれている。
「……ほんとに?」
「……うん」
「……じゃあ、約束ね」
「……うん。約束」
私は、笑いながら〇〇の首に腕を回した。
「……じゃあ、逃げたら許さないからね」
〇〇は、少しだけ笑った。
「……分かってる」
「ほんとに?」
「ほんと」
「……じゃあ、明日も会おうね」
「……うん」
「明後日も?」
「……うん」
「その次の日も?」
〇〇は、私の額に自分の額をそっと寄せた。
「……会えるようにする。会えないときも、ちゃんと連絡する」
その言葉が、何より嬉しかった。
大げさな約束よりも、ずっと信じられる気がした。
「……うん」
私は、彼の胸に顔を埋めた。
〇〇は、何も言わずに私を抱きしめていた。

