その腕の中で、私はようやく、ずっと言えなかったことを口にした。
「……私、〇〇と一緒にいたい」
〇〇の腕が、少しだけ強くなった。
「……うん」
「次に会えるか分からない関係じゃなくて。連絡が来るかどうかで、一日中不安になる関係じゃなくて」
私は、彼の胸に顔を埋めた。
「会いたいときに会いたいって言えて、寂しいときに寂しいって言えて。ちゃんと、私の居場所がある関係がいい」
〇〇は、私の頭を撫でていた。
「……うん」
「私、〇〇と一緒にいたいの」
今度は、はっきりと伝えた。
「お金があるとか、すごい仕事をしてるとか、そういうことじゃなくて」
私は顔を上げた。
「〇〇と一緒にご飯を食べて、くだらない話をして、隣で寝て。そういう何でもない時間が、私は一番幸せなの」
〇〇は、まっすぐ私を見ていた。
「……だから、今すぐ全部うまくいかなくてもいいよ」
私は、少しだけ笑った。
「難しいことは、あとで一緒に考えよう?」
〇〇の目が、少し揺れた。
「……私、〇〇と一緒にいたい」
今度は、はっきりと言った。
〇〇は、しばらく黙っていた。
そして、私の手を両手で包んだ。
「……俺も、お前と一緒にいたい」
小さな声だった。
でも、今まで聞いたどの言葉よりも、真剣に聞こえた。
その言葉を聞いた瞬間、涙がこぼれた。
「……ほんと?」
「……ほんと」
「……また、いなくならない?」
聞くのが怖かった。
でも、聞かずにはいられなかった。
〇〇は、私の目をまっすぐ見た。
「……もう、何も言わずにいなくなったりしない」
「……うん」
「何かあったら、ちゃんと話す」
私は、何度もうなずいた。
「……うん」
「だから、お前も、嫌なことがあったらちゃんと言って」
「……うん」
「我慢して、一人で抱え込まないで」
その言葉が嬉しかった。
ただ戻ってきてほしかったわけじゃない。
また同じことを繰り返したかったわけでもない。
今度こそ、ちゃんと一緒にいたかった。
好きだからこそ、逃げずに話したかった。

