「……ずるいね、私たち」
そう言うと、〇〇は小さく笑った。
「……ほんとにね」
しばらくして、〇〇が私の方を向いた。
「でも、俺は、お前がそばにいてくれることに甘えてた」
私は、顔を上げた。
「お前は、俺が何を言っても、結局会いに来てくれる。俺が会いたいって言えば、喜んでくれる。嫉妬しても、最後には何も言わずに許してくれる」
彼は、ゆっくりと言った。
「それに甘えて、ちゃんと向き合わなくても、この関係が続くと思ってたんだと思う」
私は、唇を噛んだ。
「……でも、続かなかったね」
「……うん」
〇〇は、目を伏せた。
「俺が終わらせた」
その言葉は、静かだった。
「何も言わずに消えたら、もう会えなくなるかもしれないって、考えなかったわけじゃない。でも、そのときは、自分のことで精いっぱいで……。ちゃんと話すことから逃げた」
彼は、私の目を見た。
「本当に、ごめん」
私は、ゆっくり息を吐いた。
許したいと思った。
でも、傷つかなかったことにはできない。
それでも、今の〇〇なら、少しだけ信じてみたいと思った。
私は、握られた手を握り返した。
「……もう、何も言わずにいなくならないでね」
〇〇は、すぐにうなずいた。
「……うん」
「何かあったら、ちゃんと言って」
「……うん」
「私、〇〇が思ってるほど、強くないから」
「……知ってる」
「知らないよ。全然知らない」
私は、涙をこらえながら笑った。
「私、ずっと寂しかったんだから」
〇〇は、何も言わずに私を抱き寄せた。

