Jour de neige

「交通事故で大怪我したんだ。スキーのインストラクターだけでは食べてはいけないにしても、大好きなスキー自体は、ずっと続けていきたかっただけに、脚をやられたのは、本当にショックだった」
 そして、夫はポツリポツリと、私の知らなかったことを語ってくれた。
 何か他にやりたいことを見つけなければ⋯⋯そう思い、いろんな仕事について調べたことを。

 以前から小説を書いてみたいと思っていて、いろんな仕事について調べたことを活かし、お仕事小説を書いてコンテストに応募したところ、いきなりの大賞受賞。
 それが、彼の作家人生の始まりだった。

「事故にあった当時は、本気で落ち込んだんだ。誰もが歩くことも走ることも当たり前にできるのに、僕はこれからずっと、片脚を引きずってしか歩けないのかと。だけど、ふと思い出したんだ。皆と同じように出来なきゃいけないの?って嘆いてた女の子のことを」
 夫は、すっかり酔いがさめた様子で、
「だから、理想とは違う人生でも味わい尽くすと決めたんだ。そのお陰で今、小説家としての人生がある」