Jour de neige

 思っているも何も⋯⋯。
 職業が小説家で、不自由な脚のこともあるから、実際にインドア派だろう。
「本当は違うの?」
「これも言ったことなかったよね。僕は昔、スキーのインストラクターだったんだ」
 意外な経歴に、目を見張った。

「え、そうだったの?」
「首から上は、お下げ髪で可愛い顔なのに、スキーウェアは何故かド派手なヒョウ柄⋯⋯そんな子に心当たりはない?」
 私は、目玉がポロっと落ちるのではないかというほど、ますます目を見張ってしまう。
「可愛いかどうかは別として、お下げ髪にヒョウ柄のスキーウェアの子なら⋯⋯」

 件のスキー合宿の写真に写った私が、まさにそれだ。

「その子が、リフトに乗ることを頑なに拒んで、ユーミンを歌いながら雪だるまを作ってたこと、その子にだけこっそりスノーグローブをあげたのは、よく覚えてるよ」
「えぇっ!?」
 つまり、目の前の夫が、あのインストラクターのお兄さんだというのか?

 しかし⋯⋯。

「きみは気を遣ったのか、僕がどうして脚を引きずっているのか一度も尋ねたことはなかったよね」