世界が青色にひっくり返る、たった一秒の奇跡――BLUE DIARYを抱きしめて――

放課後、ハルは一人、机の上でノートに向き合っていた。
手にしたシャーペンの先を見つめながら、ハルは自分がこの数ヶ月間で駆け抜けてきた、嵐のような衝動の日々を静かに振り返る。
「あの日以来、集中なんてできない」と、数学の授業中にアオの横顔をノートに書き殴り、頭を抱えてのたうち回っていたこと。
夕暮れの放課後、帰り道の駐輪場で、たった1秒、視線が交わっただけのあの瞬間に、世界のすべてのトーンが変わってしまったこと。
そして、暗い部屋のベッドの上、既読のつかないスマホの冷たい画面をじっと見つめながら、どうしようもない焦燥感と独占欲に身を焦がしたあの夜のこと。
ハルは今、その一つひとつの記憶を、まるで真っ青な日記帳――『BLUE DIARY』に、一行ずつ丁寧に書き留めていくような気持ちで反芻していた。
あの日々がくれた、胸の奥がキュンと引き裂かれそうになるほどの瑞々しい痛み。
自分でも制御しきれなくて、格好悪くて、恥ずかしいほどに暴走してしまったアオへの独占欲。
(……全部、無駄じゃなかったんだな)
当時は苦しくて もどかしくて仕方がなかったその感情のすべてが、今ではどうしようもないくらい愛おしい、自分だけの特別な「青春」だったのだと、ハルは静かに受け入れていく。
ノートにさらさらと走るシャーペンの音だけが、ハルの新しく澄み渡った心に心地よく響いていた。