「でもね、花梨。
俺は怒ってるんだよ。怒ってるし、そして、悲しい…。」


「え…なんで」


「…何、周囲の声に惑わされてるんだよ。」


悲しげな表情をした先生が、私をまっすぐ見つめる。


「ねえ、俺のこと信じて?俺の言葉だけ信じて…」


「うん」


分かった。信じるよ。
先生の事も言葉も。


ねえ、先生。
好きな人の事って、どんなに、信じていても信じたくっても、不安になっちゃうものなんだね。


信じてるけど、先生の事、好きだから不安になっちゃうんだよ。


でも、もう大丈夫だから。
先生の言葉なら信じられるし、信じるからね。


「うん、信じる。だから、あの夜の事教えて?」