制服のジャケットのポケットから、カサッという音がしたんだ。
ポケットを探ると、瀬尾君宛ての手紙が出てきた。
「あ、これ返さないと…」
席を立ち、渡しそびれた手紙を手に、
彼のいる教室に行って、瀬尾君を呼び出した。
瀬尾君は、机に腰かけて、友達数人と話していたんだけど、私に気がつくと、すぐに、きてくれた。
「これ…」
教室から離れたつきあたりの廊下で、手紙を渡す。
「宮森さんから?」
「ううん、
朝、廊下でぶつかったでしょ。その時に落ちたんじゃないかな。
すぐ、拾ったんだけど、返すの遅れたの。
本当にごめんね。じゃあ」
それだけ早口で言って、自分の教室に帰ろうとした…んだけど、
瀬尾君が、なぜか、私の手を掴み、離そうとしない。
???
「瀬尾君?」
「この手紙、宮森さんからの手紙だったら良かったのに…」
へ?

