話し声で、目が覚めた。
辺りを見渡すと、ここが、保健室だということが分かった。
消毒液の匂い。
私が寝ている白いベットの脇には、白いカーテンがひいてある。
話し声が聞こえると、保健の先生らしい声と、
あと一人…聞き間違えもしない愛しい人の声。先生。
二人は、病人の私に、気遣ってか小声で話し合っている。
でも、周りが静かなせいか、耳を澄まさなくても、声は、途切れ途切れに聞こえてくる。
「…携帯…」
「…返す…昨…楽し…」
なんだか聞いてはいけないような意味深な言葉に思えた。
イヤだ、イヤだ。聞きたくない。
私は、起き上がりベットの横の、カーテンを勢いよく開けた。
「宮森…、起きたのか」
先生は言った。

