脅迫婚?!~悪い噂の絶えない社長が、実は誠実で一途だったなんて信じられません!~


カタセが店を構えている六階は、一時期は子供服や玩具など子供用品売り場だったが、今ではフロアの半分がスポーツ用品や旅行用品に占拠されている。

カタセの店内や子供用品のフロアをぐるりと見たものの、賑わっているとは言い難い。

(お客さんがいないわけじゃないんだけど、活気がないというか。百貨店だし、落ち着いて買い物ができるっていうのが売りでもあるから仕方ないのかなぁ……)

それでも子供服売り場から、子供の声が聞こえてこないのは寂しい気がする。

「本館は高価格帯の店が多いけど、新館にはファストファッションのお店も入ってるんですよね」
「あぁ、イズミの副社長の発案らしい。彼もかなり遣り手だからな、伝統と格式ばかり重んじていても集客が増えるわけじゃないとわかってるんだろう」
「脱・百貨店というやつですか?」

伝統と格式に重きを置いているカタセを思うと耳が痛い。

「いや、百貨店らしさを損なうつもりはないだろう。集客の間口を広げようとしているだけだ。顧客化するために百貨店主導のイベントを多く開催しているし、独自の商品の充実も図ってる。だからこそ、ここで先行販売をしたり店舗限定商品を出すのに意味がある。百貨店側も必死で宣伝してくれるからな」
「なるほど」