レストランに着いたタイミングがよかったのか、比較的すぐに席に通された。注文を済ませ、無作法にならない程度に周囲をぐるりと見回してみる。ガラス素材や白を基調とした内装は高級感があるが、格式張っていないため、リラックスして利用できる雰囲気がある。
すると、ちょうど愛梨たちが座るテーブルの横を女性ふたり組がスタッフに案内されて歩いていった。彼女たちが着ていたワンピースには見覚えがある。間違いなくソルシエールの商品だ。
「今の子たち、二十代前半くらいですよね。あの年頃の子たちに奮発してでも買いたいって思わせるソルシエールって、やっぱりすごいです」
秋冬シーズンはトップス一枚でも三万円程度するものが多いし、ワンピースになると五万円以上、コートやブーツなどは桁が変わる。
バイト代を注ぎ込んでもソルシエールの服を着たい。自分へのご褒美にソルシエールのワンピースが欲しい。
若い女性の間にそういった価値観を生み出したのが彼だ。ドラマとタイアップしたり、有名女優や人気モデルをアンバサダーに起用したりと、様々な戦略で急速に認知度を上げてきた、まさに遣り手社長。
ソルシエールもカタセと同じく老舗企業だが、この数年で目覚ましい発展を遂げた。きっと理人の存在なくして、この急成長はあり得なかっただろう。



