「……理人さんもコーヒー飲みますか」
自分の分だけのコーヒーを淹れるのも躊躇われて尋ねると、理人は「ありがとう、お願いしようかな」と言いながらネクタイを緩めた。
その仕草に、思わず目を奪われる。
(よくキュンとする仕草に挙がるけど、今初めて理解したかも)
長く綺麗な指先、手の甲に出る筋や血管、仕事終わりの疲労が滲んだ横顔、そうしたものが合わさって、とても色っぽく見えるのだ。
愛梨は慌てて目をそらし、コーヒーを注ぐのに集中する。
「明日、なにか予定はある?」
「え? いえ、特には。実家に顔を出そうかなと思ってるくらいです」
「それなら、一緒に出掛けないか?」
彼はソルシエールとカタセの両店舗が入っているイズミ百貨店へ行くつもりらしく、それに同行しないかという誘いだった。



