(私だって、カタセの伝統を守りたいっていう気持ちがないわけじゃない……)
けれど、せっかくソルシエールとコラボできるのだから世間の注目を大きく集めるものにしたいし、多くの親子に喜んでもらえる服を作りたい。
そのためには、これまでの伝統とソルシエールの世界観の両方を成立させるようなコンセプトが必要となる。
「あーもう、保守派のおじさんたちがごちゃごちゃうるさいせいでなにも浮かばない! 現場を知る気がないなら黙っててくれたらいいのに!」
長い髪をくしゃっと掻き乱し、溜まりに溜まった不満を声に出して発散した、その時。
「相当疲れてるな」
突然聞こえた声に驚いて振り返ると、リビングに入ってきた理人がクスッと笑った。まさか自棄っぱちの愚痴を聞かれていたとは思わず、羞恥で顔が赤くなる。



