『そうやって慣例ばかりに気を取られていたら、成功する企画も成功しなくなる。他社との共同企画は初めてなんだ、やり方だってこれまでとは違うようになるもの当然だろう』
今後スムーズに企画を進めていくためにも、決裁ラインの整備は急務だ。数日かけて現場決裁できるラインを話し合い、ようやく合意を得た。とはいえ『社長の娘とはいえ、女だてらに生意気だ』などとすれ違い様に嫌みを言われたけれど。
心身共に疲労困憊で、こういう日こそ朝陽の顔を見て癒されたい。
愛梨は定時過ぎに仕事を終えると実家へ寄り、朝陽とともに静江の作ってくれた夕飯を食べて、彼が寝室で眠ったあとにマンションへと帰宅した。
「ただいま」
日頃の癖で未だに声に出してしまうが、実家と違い誰もいない家はしんと静まり返っている。
「やっぱりまだ帰ってないか……」
愛梨はゆっくりお風呂に浸かって身体を温めると、お気に入りのもこもこのルームウエアに着替え、自室で企画のコンセプトを練る。



