脅迫婚?!~悪い噂の絶えない社長が、実は誠実で一途だったなんて信じられません!~


ついキョロキョロと観察するように見回していると、理人がおかしそうに笑った。

「そんなに珍しい? 愛梨の実家の方が広いだろ」
「すみません、不躾に。あまりにオシャレな部屋でビックリしてしまって」

ひとり暮らしの経験もないため、マンションに足を踏み入れた経験すらほとんどない。

(それに、今日からここに理人さんとふたりきりで生活するんだって考えると、さすがに緊張する……)

両家の顔合わせからたった一週間。愛梨は理人の自宅へと引っ越してきた。

荷物は大きなキャリーケースがふたつ。ほぼ衣類とメイク道具、身の回りのものだけで、ちょっとした旅行と変わらないくらいの身軽さだ。朝から理人が車で迎えに来てくれたため、引っ越し業者すら頼まなかった。

「今日から君の家でもあるんだ、好きなだけ見て回ったらいい。まずは愛梨の部屋から案内する」

彼の自宅は四階の角部屋で、間取りは3LDK。ひと部屋は寝室、もうひと部屋は彼の仕事部屋にしているらしく、愛梨に用意されたのは余っていた十畳ほどの洋室だ。