子供服メーカーカタセは、創業八十年を誇る老舗企業だ。
戦後まもなく『ベビーショップ片瀬』としてベビー・子供服の製造販売を始め、数年後には『カタセ株式会社』を設立。
子供のことを第一に考え、新生児から小学校高学年までの子供を対象としたアパレルブランドとして、質の高い商品を作り続けるというモットーは今も昔もかわらない。
徐々に店舗数を増やし、創業から十年余りで海外へも進出した。子供服メーカーでは向かうところ敵なし。カタセの名は広く世間に浸透し、日常を彩る普段着からお出かけ用のフォーマル服、出産祝いの小物まで、〝子供服といえばカタセ〟と言わしめていた。
しかし、それも二十年以上前の話。
現在は外資系ファストファッションの進出により、子供服だけでなくアパレル業界全体が苦境に立たされている。いわゆる百貨店ブランドと呼ばれる高品質で高価格の企業は、若者やトレンドに敏感な層を取り込めず低迷が続いていた。
さらに、子供服は深刻化する少子化で厳しい競争環境にある。それは国内シェアで不動の一位を誇っていたカタセも例外ではない。



