パーティーの翌日は、西澤家と片瀬家の顔合わせが行われた。
ホテル『アナスタシア』の地下一階にある料亭は、愛梨の父のお気に入りの店だ。なかなか予約を取るのが難しいはずだが、理人がこの日のために伝手を使って個室を押さえてくれたらしい。
西澤家からは理人と彼の両親、片瀬家からは愛梨と父と朝陽が席につき、和やかな雰囲気で食事が進む。
「愛梨さんのようなしっかりしたお嬢さんとご縁をいただいて、本当に嬉しく思っているんですよ」
「いえ、こちらこそ。若手実業家の中でも、理人くんは群を抜いていますから」
父親同士の定番の会話から始まり、幼少期のエピソードなどを披露し合ったかと思うと、今はアパレル市場の変化について熱く意見を交わしている。
愛梨はそんな両家の父親の会話に耳を傾けつつ、お子様御膳を頬張る朝陽の世話を焼いていたが、彼は久しぶりに会う理人との話に夢中だった。
「これ、おいしい! 理人にも僕と同じのある?」
「あぁ、ブリの刺身か。うん、あるよ」
「ブリって出世魚っていうんでしょう? そっか、今日はお祝い事だからブリなんだね!」
「そう、よく知ってるな」



