「……誰かのためにドレスを選んだのは初めてだ」
「え?」
「これまで誰にも自分で選んだドレスを贈ったことはない」
唐突な宣言に疑問を抱くが、きっと誰かひとりを特別扱いするようなことはしてこなかったと言いたいのだろう。
それなのに自分は特別だと勘違いしてマウントをとる女性が多く辟易しているため、彼は愛梨に結婚を申し入れたのだ。
新山を見ていると、もう少し選ぶ女性を考えればいいのにと思わないこともないけれど、それは言わないでおく。
「女性にモテるのも大変ですね。私は理人さんにそういう感情を向けることはないので、安心してください」
そう笑顔で励ましたのに、なぜか彼は心底驚いた顔をしたあと、ジトっとした目で見てくる。
「え、なんですか?」
「なるほど、あんな小さな朝陽くんに言われるくらい鈍感なのか……」
理人がボソボソと呟きながら顔を覆って俯くのを横目に、愛梨は首をかしげたのだった。



