理人と握手を交わす女性は、新山エリコ。十九歳でパリに留学し、帰国後すぐにブランド『ERIKO』を設立。バブル崩壊で経営危機を経験するも、自力で再建した遣り手実業家でもある。今や日本を代表するデザイナーで、七十を過ぎた今でも精力的に活動している。
(新山エリコとも面識があるなんて、どれだけ人脈が広いの……!)
愛梨は一歩引き、ふたりの会話を見守っていたが、エリコの後ろに見知った顔がいるのに気がついた。
(え、新山さん……? もしかして、新山エリコ先生の親戚だったの?)
愛梨の疑問に答えるかのように、エリコが新山の話題を口にした。
「そうそう、孫がお世話になっているわね。急にうちの会社を辞めてフリーになるなんて言い出した時はどうしたものかと思ったけど、あなたのところなら安心だわ」
「学生時代から数々の賞を受賞されていると、うちのブランド統括が期待して声をかけさせていただいたようです。もちろん、私もいい仕事ができるのを楽しみにしています」
理人の言葉に、後ろに控えていた新山が嬉しそうに顔を綻ばせる。
「ふふ、嬉しいです。理人さんのお力になれるよう頑張りますね。それにしても、パーティーに参加されるのなら私もご一緒したかったです」



