脅迫婚?!~悪い噂の絶えない社長が、実は誠実で一途だったなんて信じられません!~


待ち合わせ時間まであと十分ほど。理人を待たせないようにと玄関先に出たのとほぼ同時に、シルバーのスポーツタイプの車が目の前に停車した。

「すみません。待たせましたか?」
「いえ。今出てきたばかりです」

運転席から下りてきた理人は光沢のあるブラックのパーティースーツ姿で、その洗練された佇まいに思わず目を奪われる。

(なにをしても絵になる人だなぁ……)

対する理人もまた、こちらをじっと黙ったまま見つめている。彼の真っすぐな視線に晒され、居心地が悪い。

「ドレスや靴を贈ってくださりありがとうございます。あの、なにかおかしいでしょうか?」

いつもパーティーに出席する時は父と一緒だったが、後継者は朝陽であって愛梨ではないため、いつも目立たないよう無難な格好をしていた。こんなに華やかなドレスは久しぶりで、つい楽しくなってヘアメイクに気合いが入ってしまったのだが、どこか変なところがあるだろうか。

鏡を見にいくべきかと迷っていると、見送りに出てきた朝陽が勢いよく飛びついてくる。