「結婚相手は誰でもいいというわけではありません。この業界はパーティーに同伴してもらう機会も多いので、そうした場に慣れている女性が好ましいですし、仕事の邪魔をされるのも困る。そういう意味でも、俺の容姿やステータスに魅力を感じていない点においても、片瀬さんは理想的です。あなたが結婚相手なら、互いにメリットがあると判断しました」
愛はなく、彼にとっては既婚者という社会的ステータスと女避けのための結婚。そんな提案に頷けるはずもない。
「申し訳ありませんが、お断りします」
微塵も申し訳ないとは思っていないけれど、愛梨は丁寧に頭を下げる。
すると、憎らしいほど長い脚を組み替えた理人が、珍しいものを見たかのように片眉を上げてた。
「カタセを潰したいんですか?」
まるで脅しのような文言に、愛梨はつい噛みつくように言い返す。
「なっ……、どういう意味ですか!」
「ご提案いただいた共同商品開発企画は面白いと思いますし、こちらにも利益がありそうです。ですが、うちとしてはコラボする相手はカタセでなくても構わないんですよ」



