脅迫婚?!~悪い噂の絶えない社長が、実は誠実で一途だったなんて信じられません!~


魅力的な言葉に、愛梨は先ほどまでの苛立ちも忘れて身を乗り出す。

「業務提携……! 考えてくださいますか?」
「コラボ企画の結果次第では」

頷く理人に、愛梨はカタセ再興の光明が見えた気がした。それならば理人と結婚する意義がある。

一気に前向きになった愛梨だが、次の理人の発言で気持ちに急速にブレーキがかかった。

「住まいはこのまま私のマンションでと考えています。余っている部屋もありますし、カタセの本社からも遠くない」
「えっ、一緒に住むってことですか?」
「当然です。仮面夫婦だと変に騒がれたくないですし、人前ではそれらしく振る舞ってもらわないと困ります」

まったく困っているように見えない理人よりも、よほど自分の方が困っている。

理人と同居するとなると、朝陽をひとりにしてしまう。もちろん実家には父も岡崎夫妻もいるけれど、それでも愛梨がいなくなれば寂しい思いをさせてしまうに違いない。

とはいえ結婚するのに別居を選べば、いらぬ憶測を呼ぶという彼の言い分もわかる。なまじ本当に愛のない結婚なだけに、あれこれ詮索されるのは御免だ。