「どうぞ。入ってください」
「失礼します」
理人に連れられて再び社長室へと足を踏み入れた。
ソファに座ると、すぐに男性秘書がコーヒーを出してくれる。彼が退室するのを待って、理人が口を開いた。
「気持ちは決まりましたか?」
前置きもなく尋ねられ、愛梨は眉をひそめた。
断られるなんて微塵も考えてなさそうな理人の表情が、愛梨のフラストレーションを刺激する。
実際、愛梨に断るという選択肢はない。本当は結婚なんてまだ先だと思っていたし、今も多少迷いがある。
(でも、これでカタセが救われる。このコラボ企画がうまくいけば、業務提携に発展していけるかもしれない)
そもそも恋愛や結婚に強い憧れはないし、学生の頃から、いつか会社のために優秀な男性を婿に迎える覚悟もあった。



