「いいですね。御社のこだわりがよく伝わりましたし、確かにカタセの品質のよさは群を抜いています」
「ほっ、本当ですか?」
表情を緩めた理人の第一声に、つい愛梨の声が上擦る。
「ええ。仰る通り、うちのターゲット層は結婚や出産を考える年代だし、そうしたライフプランに寄り添う服が作れるのは悪くない。ぜひ前向きに検討させてください。明日にでも正式にお返事をさせていただきます」
「ありがとうございます! よろしくお願いします」
ガッツポーズをしたい衝動をグッと堪え、美嘉や真山と頷き合う。そうして各々が立ち上がった時、理人から声がかかった。
「片瀬さん。少しお話をいいですか?」
前回同様、愛梨のみが呼び止められる。振り向くと、感情の読めない貼り付けたような笑顔で理人がこちらを見ていた。
(……う、きた。例の話の返事をしろってことだよね)
愛梨が「わかりました」と了承すると、慌てたように真山が会話に割って入ってくる。



