脅迫婚?!~悪い噂の絶えない社長が、実は誠実で一途だったなんて信じられません!~


一瞬、理人の顔が浮かんだものの、彼は静江が言う『いい人』とは違う。愛梨は苦笑して首を横に振った。

「そんな人いないよ。私、全然モテないから」
「こんなに美人で可愛いうちのお嬢様がモテないはずがないじゃありませんか。いやだ、鈍感なのかしら」

静江の身内贔屓な発言に、思わず笑ってしまう。母に似て美人だと言われることはあっても、男性から交際を申し込まれたことなど一度もない。

手を頬に添えてぼやく静江の発言を聞いた朝陽が「ドンカンってなぁに?」と尋ねてくる。

「鈍感? えっとね、感覚が鈍いとか、気が利かないってこと」
「空気が読めない、と一緒?」
「うーん、ちょっと違くて、自分や相手の気持ちになかなか気付かないこと、みたいな場面で使うことが多いかな」
「なるほど、わかった。それで、お姉ちゃんはドンカンなの?」
「えっ? 違うよ! ほら、静江さんがおかしなこと言うから、朝陽が食いついちゃったじゃないですか」

愛梨が困った顔で言うと、静江が豪快に笑った。