アクセサリーにさほど興味のない愛梨でも知っている高級ブランドのアクセサリーケースは、よくみる上下に開くタイプではなく観音開きタイプらしい。
彼はゆっくりと、静かに開いてみせる。そこにはチャネルセッティングと呼ばれる、バンド部分にダイヤがぐるりと埋め込まれている指輪が鎮座していた。どの方向から見ても照明の光を反射してキラキラと輝き、存在感を放っている。
「素敵……」
思わず呟くと、理人がホッとしたように微笑んだ。
「よかった。本当は一緒に買いに行くか迷ったんだが、いらないと言われるのが怖くて勝手に買った。気に入ったのなら、つけてみてほしい」
彼はケースから指輪を抜くと、迷いなく愛梨の左手薬指に誓いの証をすべらせた。
「わぁ、ぴったりです」
指輪を見せるように手の甲を顔の位置まで上げると、受け取った愛梨以上に理人が嬉しそうな顔で笑った。



