脅迫婚?!~悪い噂の絶えない社長が、実は誠実で一途だったなんて信じられません!~


「ただいまー」
「おかえり、お姉ちゃん」

元気いっぱいに出迎えてくれるのは、先月六歳になったばかりの弟、朝陽だ。

勢いよく抱きついてきた朝陽を受け止め、ふたりでリビングへ向かうと、肉の焼けたいいにおいが漂ってくる。

「おかえりなさい、愛梨ちゃん」
「静江さん、ただいま。すごくいいにおい」
「今日は朝陽くんのリクエストで、ハンバーグとポテトサラダですよ」

にこやかにキッチンに立っているのは、長年片瀬家に仕えてくれている家政婦の岡崎静江だ。静江の夫の秀夫は、愛梨の父の運転手をしており、岡崎夫妻は片瀬家の敷地内にある別邸に暮らしている。ふたりは愛梨が生まれる前から片瀬家にいるため、家族のような存在だ。

「やった! 私も大好物! ごめんなさい、なにもお手伝いできなくて。朝陽のお迎えもありがとうございます」
「それが私のお役目なんだから、毎日急いで帰ってこなくても大丈夫ですよ。愛梨ちゃんだって年頃のお嬢さんなんだから、そろそろいい人だっているでしょうに」