脅迫婚?!~悪い噂の絶えない社長が、実は誠実で一途だったなんて信じられません!~


「こんなところで、どうしたんですか?」
「一緒に食事にでも行こうと思って待ってたんだ。夕方にメッセージを送ったんだけど、見てない?」
「えっ? すみません、気付かなかったです」
「いや。すれ違いにならなくてよかった」

先ほどはどことなく余裕がなさそうに見えたが、話す様子はいつもと変わらない。周囲が暗いため、見間違えたのかもしれない。

理人は愛梨に柔らかい笑みを向けると、次いで真山に視線を移す。

「お疲れ様です、真山さん。今日は本当に申し訳ありませんでした」
「いえ。以前からなぜあの態度を許しているのか疑問でしたので、ようやく適切な対処をしていただけて助かりました」

棘を含んだ言い草にぎょっとする。会議中は大人の対応をしていたはずの真山だが、新山の度重なる無遠慮な発言は相当腹に据えかねていたのだろうか。

とはいえ、相手は取引先の社長である。真山の好戦的な物言いに、愛梨は気が気でない。

「特に、お嬢様だのなんだのと、うちの片瀬を攻撃するような発言は、俺としては見逃せませんから」
「真山さん」