脅迫婚?!~悪い噂の絶えない社長が、実は誠実で一途だったなんて信じられません!~


「真山さん、理想高いんですか? 結構可愛い子だったのに」
「別に。好きでもない相手と付き合うなんて、不誠実なことはしたくないだけだ」
「……なるほど」

好きでもない相手と結婚しようとしている理人や愛梨自身を思うと、なんとも言えない気持ちになる。

「それで? これから行けるか?」
「あ、すみません。夜は真っすぐ帰りたくて」
「そういえば前もそんなこと言ってたな。……彼氏と約束?」
「私に恋人はいないって真山さんも知ってますよね? そういうんじゃないです」

愛梨に恋人はいないし、過去にいたこともない。ピカピカの恋愛初心者である。

「ごめんなさい、お先に失礼します。明日、頑張りましょうね」

愛梨はコーヒーの空き缶を捨てると、納得がいかない顔をしている真山に一礼して休憩室をあとにした。