脅迫婚?!~悪い噂の絶えない社長が、実は誠実で一途だったなんて信じられません!~


(でも、できれば今日話したいな。寝ないで待ってたら迷惑かなぁ)

この日に照準を合わせて心の準備をしていたのだ。後日となると、もう一度勇気を振り絞るところから始めなくてはならなくなる。

そんなことを考えながら一階に向かうエレベーターに乗り込むと、廊下の向こうから「乗ります」と聞こえ、慌てて開くボタンを押した。

「あ、真山さん。お疲れ様です」
「おぉ、片瀬か。悪いな」
「いえ、どうぞ」

他に人がいないのを確認し、閉まるボタンを押す。

「今日はイブだってのに散々だったな」

やはり話題といえば、昼間のソルシエールとのミーティングになる。愛梨は肩の力を抜いて苦笑した。

「でもデザインが完成する前でよかったですよ。もし描いてもらったあとだったら、もっと揉めてましたもん」
「あの新山って女、やけにお前を目の敵にしてたな。ソルシエールとの契約解除を逆恨みして、今後もお前に突っかかってくるってことはないか?」
「怖いこと言わないでくださいよ。もう会う機会もないと思います」