脅迫婚?!~悪い噂の絶えない社長が、実は誠実で一途だったなんて信じられません!~


「あんな人の言葉、気にしないでくださいね。愛梨さんが西澤社長に相応しくないなんて、私たちは誰も思ってませんから」
「そうですよ! むしろあんな噂ばっかりの西澤社長こそ愛梨さんには相応しくないですから! っていうか、やっぱりあのデザイナーも元カノとかなんですかね」
「ちょっと!」
「あっ、すみません、つい……」

やはり誰の目から見てもそう映るらしい。愛梨は苦笑して首を横に振った。

「大丈夫だよ、ありがとう。でもごめんね、変な話を聞かせちゃって」

精神的に疲れ果てていた愛梨だったが、事前に婚約した事実をメンバーに伝えていたことだけはよかったとホッとする。そうでなかったら、もっと大騒ぎになっていたかもしれない。

「会社が傾いてるとか身売りとかですか? それこそ気にしちゃダメですよ。ただ愛梨さんの悪口を言いたいだけなんですから。単なる僻みですよ」

励ましてくれる同僚に、お礼を言って微笑んだ。

カタセの業績は傾いているというほど悪いわけではない。ただ徐々に右肩下がりであることは確かで、時代が違うとはいえ過去に『子供服といえばカタセ』と言われていた頃とは知名度や勢いは雲泥の差だ。