きっと新山に本気で企画をおりる気はなかったのだろう、理人に引き止められなかったことに動揺しているように見える。
「どうしてカタセを庇うんですか! あの人が書類上だけでも妻になるから? 実家の会社が傾いたからって身売りするような女、理人さんの妻に相応しくありません!」
新山は激しく取り乱し、愛梨を指さして叫んだ。
突如名前を出された愛梨はぎょっとする。どうしてここで理人が個人的な感情を持ち出したと考えるのか、彼女の思考回路はやはり理解不能だ。
理人も愛梨と同じように彼女には話が通じないと考えたのだろう、「もう結構です」と彼女の言葉を遮った。
「契約上、双方合意であれば解除が可能とあるはずですので、後ほど契約解除の書類をお渡しします。そうでなくとも、あなたの発言は信頼関係を損なう行為としてこちらからの契約解除の理由になり得ます」
「そんな……! 私は理人さんのために――」
それ以上新山に発言させるつもりはないのか、理人は彼女から視線を外して愛梨たちカタセのスタッフに向き直る。



