久住が言葉を濁す。彼女の視線を受けた新山が、ここぞとばかりに声を上げた。
「待ってください、こんなの絶対に反対です!」
「大声を出さずとも聞こえています。理由を聞かせてもらえますか」
「だって、結局デザイン自体は別々になるってことですよね? 私のデザインした服の隣に、古臭い子供服が並ぶことになります。そんなの、私の服が台なしじゃないですか!」
いかにも正しい主張をしていると信じて疑っていない様子の新山だが、発言の中身はただの偏見と感情論だ。
理人は不快感を隠さずに目を眇め、ため息をつく。そんな彼の仕草に苛立ちを感じたのだろう、新山が続けて声を上げた。
「理人さんまでカタセのお嬢様を優先して私の意見を聞いてくれないのなら、私はこの案件から下りますから!」
子供の癇癪のような発言に、久住や藤森が顔色をなくしている。しかし、理人は淡々と対応する。
「わかりました。どうやらあなたには荷が重かったようです」
「……えっ?」
「カタセさんは今回の企画の大切なパートナーです。そのブランドを侮辱する発言は個人の感想では済まされません。さらに、あなたは我が社から依頼を受けた立場であったはず。デザインは〝あなたの服〟ではなくソルシエールの商品ですし、今回に至ってはカタセの商品でもある。そんなこともわからないあなたに、デザインを任せることはできません」



