ぽつりと呟く愛梨に、美嘉は優しい声で言った。
「うん、いいんじゃない? 初恋相手と結婚なんて、そうそうないことよ」
たしかに、これが愛梨にとっての初恋だ。
「初恋って、もっと綺麗なものだと思ってた。女好きのモテ男が相手だなんて、ハードモードすぎない?」
しんみりするのは柄じゃない。愛梨が明るく笑い飛ばすと、美嘉も不敵な笑みを浮かべる。
「噂が気になるのなら、ちゃんと聞くべきだと思うわ。万が一それが真実だったとしても、それは過去のこと。これから本当の夫婦になりたいのなら、浮気なんてしたらちょん切ってやるくらいのことを言ってやったらいいのよ」
「怖ぁ……。美嘉は彼氏にそう言ってるの?」
「当然でしょ? この私を恋人にしておいて他の女にうつつを抜かすなんて、許せるはずないじゃない」
威勢のいい発言に、愛梨は声を上げて笑う。
彼女と話していると、自分の気持ちを客観的に見つめることができる。ひとりで悶々と考え込んでいるよりも、よほど建設的だ。



