今のカタセは普段着ではなく贈り物のイメージが強い。両親ではなく祖父母が購入する場面が多く、そのため客単価は高いが圧倒的に利用頻度が低い。このままではブランドは先細りする一方だ。
だからこそ、ソルシエールとの共同商品開発を企画した。
ソルシエールの購買層は、二十代前半から三十代の働く女性。オフィスにも着られるカジュアルだけれど女性らしいスタイルや、デートや女子会などに着たいオシャレでトレンドを取り入れたスタイル、さらには結婚式やパーティーなどで着るドレスまで、一貫して女性らしさを追求したデザインで多くの顧客を獲得している。
その顧客の年代が、小さな子供を育てている世代と共通しているところに愛梨は目をつけた。働いている女性だけではなく、母親として輝く女性にも裾野を広げるチャンスだとソルシエール側に訴えたのだ。
「いいね、そのお嬢様らしからぬ根性」
「バカにしてます?」
「褒めてるんだろ。社長のお嬢さんが入社して面倒みてやれって言われた時は、とんだ厄介事を押し付けられたと思ったけどな」
初めて聞く真山の本音に、愛梨は苦笑した。
就職する際、〝社長の娘〟というだけで周囲に気を遣わせたり、やりづらさを感じさせるわけにはいかないと、『片瀬』ではなく母親の旧姓を名乗ろうかと考えたこともある。けれど、いずれ露見すると父に言われ、結局は縁故入社を選んだ。



