般若のような顔で詰め寄る美嘉に、愛梨は一からすべて説明した。初回のプレゼンのあとに呼ばれた際の会話から、少しずつ苦手意識が減っていったこと、そして彼から告白された事実と愛梨のモヤモヤした気持ちまで、時系列に沿ってすべて吐露していく。
恋愛偏差値ゼロの愛梨は、どうしても自分の気持ちに確信が持てない。そこで経験豊富な美嘉にすべてを話して相談にのってもらおうと思ったのだ。
「……なるほどね。最初はお互いに愛のない結婚の予定だったのに、西澤社長から好意を伝えられてどうしようかと悩んでいる、と」
「うん」
すべて話し終えると、彼女は「散々遊んだ男って、最後には安定してる女を選ぶのよね。ちょっと憎たらしいけど、愛梨を選んだところだけは評価するわ」と謎の上から目線で笑った。
「で? 話を聞いてたら、なんで愛梨が悩んでるのかわからないんだけど」
「え、なんでって……」
「愛梨は彼の気持ちを嬉しいと思ってて、相手に好感も持ってるんでしょ? 私も好きって伝えたらそれで万事解決じゃない」
「でも、ちゃんと知り合ってまだ一ヶ月しか経ってないんだよ?」
美嘉は話を聞きながら隙のない所作でクルクルとパスタをフォークに巻き付け、不思議そうな顔をする。



