「そうね。あのピンク頭にやいやい言われないように、完璧なコンセプトとデザイン案を持って乗り込みましょ」
「ピンク頭って。美嘉ったら……」
多少口は悪いけれど、頼もしい同期の存在にホッとする。
他のメンバーも美嘉につられたように仕事モードに切り替え、会議の続きが始まった。ただ真山だけがずっと険しい表情で俯いていたのに、愛梨は気付かなかった。
その日の夜。愛梨は仕事終わりに美嘉とともに銀座の街へ繰り出していた。
彼女が行きつけだというイタリアンレストランに入り、おすすめのワインと食事メニューを適当に頼んでいく。
「いつもどれだけ誘っても仕事終わりのご飯は断ってたのに、どういう心境の変化?」
「実は六歳の弟がいるの。母は亡くなってるし、実家にいた頃は寂しい思いをさせたくなくて、できるだけ早く帰ってたの」
なるべく気を遣わせないようにさらりと伝えると、美嘉もこちらの心情を汲んでくれたのか、同情めいた表情は見せなかった。



