改めて時間を取るよりも、仕事の合間にささっと報告する方が余計なことを話さなくて済む。
愛梨は僅かな時間で逡巡すると、意を決して口を開いた。
「これまで黙っていてすみません。実は先日、西澤社長と婚約したんです」
愛梨がそう告げた途端、チームメンバーは一様に絶句した。
それはそうだろう、たった今話題にしていた人物が、まさか同僚の婚約者だったなど気まずいにも程がある。
「だからといって、この企画になにか特別な力が働くとか、やりにくくなるようなことはないから安心してくださいね。みんなには今まで通りでいてもらえると助かります」
変な空気にしたくなくて、あえて軽い調子で最低限の報告をしたのだが、真山は眉間に皺を寄せている。
「婚約って……だってお前、これまでそんな素振り一度も……」
「すみません。なんだかトントン拍子に結婚が決まったので、言い出すタイミングがなくって」
「本当に西澤社長と? でもあの人は……」



