愛のない結婚だと割り切っていた時は、会社同士の政略的な結びつきなのだと話せばよかった。いかに周囲の社員に馴染んでいようと社長の娘なのだから、こういうこともあると話せば理解を得られていただろう。
けれど理人の想いを聞いた今は、そんなふうに周囲に結婚を報告するのは違うと感じている。だからといって、彼が好きだから結婚するのだと堂々と言えるかといえば、そういうわけでもない。
(私って、こんなにうじうじした性格だったかな……)
せめて同期で友人でもある美嘉と、お世話になっている真山には早めに伝えよう。そう心に決めると、愛梨は仕事に集中した。
午後になると、早速午前中にまとめた案をメンバーに見てもらった。
「自分が着たい服、大好きな家族と繋がっている服、というコンセプトで考えました。これまでは完全なお揃いとか、どうにか安全性を遵守したままデザインをリンクさせようと考えていたけど、互いに独立させて、並んだ時に繋がりが見えるというのはどうかなって」
母親と子供の服の好みが一致する親子もいれば、まったく違うテイストが好みの親子もいる。好みが違う場合、リンクコーデをしようと思うと、どちらかが自分の好きな服じゃないものを着ることになってしまう懸念がある。



