頬を染めながら胸元をぎゅっと押さえる愛梨を見た理人は、一瞬ぽかんと呆けたあと噴き出すように笑った。
「理人さん?」
「愛梨は、今日も俺の部屋で寝てくれようとしてるのかな?」
からかうように顔を覗き込まれ、自身の勘違いにハッとした。
(そうだ、朝陽が帰ったんだから私は自分の部屋で寝るに決まってるじゃん! やだ、なにも考えずに理人さんの部屋で寝る気でいた……!)
あまりの恥ずかしさに、「からかわないで!」と怒ることさえできない。湯気が出そうなほど真っ赤になり、涙まで浮かんできた。愛梨は両手で顔を覆って俯く。
「ごめんなさい、今のは忘れてくださいぃ……」
か細い声で懇願する愛梨を見た理人が、ゴクリと喉を鳴らす。
「……これがわざと煽ってるわけではなく、天然なんだから恐ろしいんだよな」
ぼそりと呟いた彼の声は、誰にも届くことなくぽとりと落ちていった。



