朝陽が生まれるまでは、いずれ会社の利になる婿をもらうのだろうと考え、恋愛はいらないのだと自ら切り捨てていた。
『誰かに寄りかかる安心感も、男に愛される喜びも、全部俺が与えたい』
そんなふうに言われて、意識しないでいられるはずがない。
(理人さんと過ごすのはドキドキするけど嫌じゃない。むしろ、すごく楽しいし安心する)
仕事面では尊敬する部分ばかりで、プライベートでは他愛ない会話で笑い合える。彼の言う『本当の夫婦』というものになれたのなら、きっと毎日が楽しくなるだろう。
それは確信に近い予感で、いつしか愛梨自身もそれを望んでいる。
けれど、この感情は彼と同じものなのだろうか。
理人と知り合って、まだ一ヶ月ほどしか経っていない。恋愛感情を抱けるほど、彼を理解しているとは言い難い気がする。
頼りがいがあって、自分に好意を寄せてくれている極上の男性に対し、ただ舞い上がっているだけなのだとしたら。恋愛感情ではなく、この先も友情の延長線上のような気持ちしか抱けなかったとしたら。



