しかし彼はそんな愛梨の心情はお見通しとばかりに、彼の気持ちに嘘はないのだと証明するかのように態度で示してくる。
ただ言葉で「好きだ」「愛してる」などと甘い言葉を言うわけではなく、ちょっとした仕草や表情から愛梨を大切に思っているのだと伝わってくるため、それがくすぐったくて仕方がない。
困惑するし照れるけれど、嫌ではない。むしろとてもドキドキしている。
『君は本当に、ひとりで重責を背負って生きてきたんだな』
『いずれ自分は政略結婚すると、学生の頃からそう考えていたんじゃないか?』
『自分には恋愛は必要ないと考えて、無意識に男に壁を作っていたんだろう。そうじゃなかったら、愛梨は今、俺の隣にはいなかったはずだ』
理人に言われて初めて、自分の価値観がすべて会社や家族のためになるかが基準だったと気づいた。
嫌々していたわけではないし、今でもそれが悪いとは思わない。
けれど学生の頃、恋をする友人たちを見て羨ましいと感じていたのも事実だ。



