脅迫婚?!~悪い噂の絶えない社長が、実は誠実で一途だったなんて信じられません!~


「そうなれるように、今頑張って愛梨を口説いてるところなんだ」
「理人さん!」
「クドイてるってなぁに?」
「可愛い、大好きって、たくさん伝えることだよ」
「そうしたらラブラブになれるの? じゃあ理人、頑張ってお姉ちゃんを口説いてね!」

朝陽は屈託のない笑顔でそう言うと、小さな拳を握って理人を応援するように突き出した。その純粋な励ましに笑みが零れる。

「ありがとう。頑張るよ」

理人が小さな拳に自分の拳をコツンと当てると、朝陽は満足そうに頷いて、「僕、お顔洗ってくるー!」と洗面所に走っていった。

「朝陽くんは最強の味方だな」
「……もう、知りません」

ツンとそっぽを向いた愛梨の耳は真っ赤に染まっている。それでも理人のそばから逃げることはなく、「これ、運んでいいですか?」と朝食の準備を手伝ってくれるようだ。

「あぁ。じゃあこっちから運んで。朝陽くんはフォークでいいか?」
「はい。小さいのありますか?」

他愛ない会話をしながらも、ふたりの間の空気はこれまでと違う。はにかむような表情の愛梨に、理人の心もくすぐったさを覚える。

(……こういうの、まさに新婚っぽいな)

そんな浮かれた思考を持て余しながら、理人は朝食を仕上げるのだった。