「モテの権化のような理人さんと一緒にしないでください。告白したことも、されたこともありませんよ」
じとっとした目で見られたが、まさかと思う。
「……本当に?」
「こんなことで嘘なんてつくわけないじゃないですか」
ということは、彼女には一切の恋愛経験はないということだろうか。
(それなのに俺との結婚を承諾したのか。カタセの再興のために……)
言いようのない感情が湧き上がってくる。
これまで誰も、彼女に触れた男がいない。その事実だけを見ればニヤけそうなほど浮かれてしまいそうになるが、理由を考えれば喜んでばかりはいられない。
「君は本当に、ひとりで重責を背負って生きてきたんだな」
「言っておきますけど、別になにかを我慢してきたわけじゃないですからね。これまで恋人がいなかったのは、単にモテなかっただけです。もう、こんなこと言わせないでくださいよ」



