「愛梨を落とすために、まずは胃袋から掴むか」
「お、落とすって……」
「昨夜言ったろ、これから全力で口説くって。その第一歩。なるべく、朝は一緒に食べるようにしないか? 俺が愛梨の時間に合わせるから」
すると、愛梨は俯いたままフルフルと首を横に振った。
(……しまった。早まったか)
すぐに同じ気持ちを返してもらえるとは思っていないが、一緒に朝食をとるのを拒絶されるのは想像以上にショックだった。
けれど、それも自業自得だ。甘んじて受け入れ、これから必死に挽回するしかない。
「悪い、今のは――」
撤回するのは違う。もっと時間を共有したいと思っているのは事実だ。けれど、愛梨を困らせたいわけではない。
言葉を探していると、愛梨が焦ったように顔を上げた。
「あっ、違いますよ! 一緒に食べるのが嫌なわけじゃないですから!」
「……え?」
「実家にいた頃の癖で早い時間に出てるだけで、本当はもっとゆっくりでも大丈夫なんです。だから、理人さんが私の時間に合わせる必要はないって言いたかっただけで」



