「んん……」
じっと寝顔を見ながらこれまでのことを振り返っていると、もぞもぞと寝返りを打った彼女が理人の体温につられてすり寄ってくる。
「ったく、襲われたいのか。人がどれだけ我慢してるかも知らないで……」
理人は愛梨の身体を抱き寄せ、その華奢さに驚く。百貨店のエスカレーターで抱き止めた時にも感じたが、こんなにも細く頼りない肩で、カタセを再興させようと人一倍努力しているのだ。
庇護欲をそそられるのと同時に、そうした芯のある部分に人としても女性としても強く惹かれる。
褒められると慌てて話題を変えようとする照れ屋なところも可愛いし、弟のことになると饒舌になるのも微笑ましい。
つい構いたくなってからかった時の、ムッとして睨んでくる上目遣いなど、抱きしめたくなるほど愛らしい。
女性に対し、こんな感情になったことはない。これまで仕事一色だった理人の人生に、愛梨が彩りを与えてくれた。彼女といると自然体でいられるし、知らず笑顔になっている。
「愛梨、好きだ。どうしようもなく君に惹かれてる」
ぐっすりと眠る彼女を胸に抱きしめたまま、理人はゆっくりと瞳を閉じた。



