兄がいた理人よりもずっと幼い頃から後継者として大企業を背負って立つ覚悟をしていたであろう彼女は、凛とした雰囲気と揺るぎない芯の強さを持ち合わせている。
内面の輝きは老若男女問わず相手を魅了し、誰もが彼女を見つめずにはいられないのだ。
おかげで終始周りを牽制する羽目になり、それを恋人を探しているのだと勘違いされた挙句、他の女性と過ごすのだろうから電車で帰るなどと平然と言われ、頭を抱えたくなったのは記憶に新しい。
彼女を逃したくない。そんな本能に突き動かされるようにして早々に同居に持ち込み、慎重に距離を詰めようと画策しているなど、数ヶ月前の自分に聞かせても信じてはもらえないだろう。
今日一日一緒に過ごしてみて、彼女から向けられるネガティブな感情が薄れているのを感じていた。
ほとんど仕事に関する話題ばかりになったのは自身の力不足だが、そもそもどんな話をすれば女性を楽しませられるのか、恋愛から十年近く離れていた理人にはわからない。
それでも愛梨はつまらなさそうにはしていなかったし、行き詰まっていた彼女の力になれたのだからよしとする。



