脅迫婚?!~悪い噂の絶えない社長が、実は誠実で一途だったなんて信じられません!~


ベッドに横になって十分ほど。隣からはすうすうと規則正しい寝息が聞こえてくる。

理人は閉じていた目を開けて、そのあどけない寝顔に苦い笑みを零した。

(本当に男として意識されていないんだな)

ガチガチに固まっていたのは、単に他人と同じベッドで眠るのに緊張していただけなのだろう。

愛梨の気持ちが自分に向いていない以上、手を出すわけにはいかない。頬を染めてそわそわする姿に劣情を煽られていた理人にとって、さっさと眠ってくれた方がありがたいとはいえ、男としての自信をなくしそうだ。

どうも愛梨は、理人が相当な女好きだと勘違いしている節がある。外に女がいるのだから、わざわざ自分に手を出すことはないだろうと考えているのが透けて見えるのだ。

彼女が以前から理人に対し嫌悪感を抱いていたのは明らかだったし、そういう女性だからこそ結婚相手に選んだのは自分自身だ。

それなのに、『愛情がなくても、信頼関係で結ばれる夫婦がいたっていいですよね』という愛梨の言葉に、どうしようもなく焦りが湧いた。